理事長挨拶

理事長
一般社団法人 日本顎関節学会
理事長 依田哲也

一般社団法人日本顎関節学会を代表して、ご挨拶申し上げます。

本学会は、「顎関節学に関する基礎的及び臨床的研究、教育及び診療についての会員の能力向上を図るとともに、それにより地域社会における口腔の健康の維持と向上に貢献し、もって国民の健康と福祉の増進に寄与することを会員共通の目的」としています。

最初は、1980年6月に第1回顎関節研究会として、名古屋市で発足しました。1987年までに8回の学術集会が開催され、1988年に日本顎関節学会へと移行し、第1回の学術大会が開催されました。2007年に有限責任中間法人となり、2008年12月より一般社団法人日本顎関節学会となっています。

対象とする疾患は、顎関節だけでなく、顎関節を動かす咀嚼筋も含んだ顎関節・咀嚼筋疾患です。中でも、最も一般的な疾患が顎関節症でしょうか。Jens Foged M.D.の提唱したtemporomandibular arthrosis(Lancet 257:1209-1211,1949)を、東京医科歯科大学第1口腔外科(現:大学院顎顔面外科学分野)の上野正教授が、1949年(昭和24年)に「顎関節症」と名付けられたことに始まります。顎関節症は、顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名です。本学会では、顎関節症患者のための初期治療診療ガイドライン、顎関節症治療の指針2020を発信し、逐次修正をしています。また、書籍として「新編顎関節症」も刊行しています。

顎関節症の他には、顎関節脱臼、顎関節強直症、顎関節腫瘍や、咀嚼筋腱・腱膜過形成症なども対象とし、例えば顎関節人工関節全置換術の適正臨床指針の発信、顎関節脱臼の全国疫学調査等も学会として行って来ました。

2022年6月現在、正会員、準会員等合計、2050名の会員を有しています。そのほとんどが歯科医師であり、最も多い口腔外科医が1/3、次いで僅差で開業歯科医が1/3を占め、その他の1/3を、補綴、矯正、歯科放射線、小児歯科、歯科保存、診断、基礎歯学など多様な専門家により構成された学際的な学会です。学会認定の専門医兼指導医が159名、専門医(のみ)147名、終身指導医27名、暫定指導医36名、認定医が55名おり、研修施設(関連、補助施設含め)となっている病院、診療所が全国に126施設あります。

活動としては、学術大会は2022年7月に札幌で35回大会が開催され、2023年度は第36回大会を東京で開催予定です。その他に、毎年数回の学術講演会を開催して、最新の学術的情報を提供しています。また、日本顎関節学会雑誌をオンラインで発行しています。

今後も、様々な活動を通じて、顎関節・咀嚼筋疾患に対する国民の健康と福祉の増進に寄与してまいりますので、ご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします。

2022年7月