口腔病学会共催 歯学部新教授による講演会を下記の通り開催いたしますので、ご案内申し上げます。
- 日時:
- 令和6年(2024年)9月11日(水)17:00開始
- 開催形式:
-
Zoomによるオンライン開催
※参加には事前登録が必要です。こちらよりご登録ください。
https://zoom.us/meeting/register/tJwoceGrpzItHdXQByUb8jsC73bcIVyModRL#/registration
登録後、ミーティング参加に必要なリンク等が記載されたメールが届きます。 - 演題:
- 「口腔内細菌叢破綻を基軸とした口腔科学研究」
- 演者:
- 片桐 さやか教授
- 所属:
- 口腔生命医科学分野
- 要旨:
- 口腔という臓器はとてもユニークで、歯が口腔上皮から頭を出しており、自己と外部環境を隔てる上皮バリアの連続性が断裂しているにもかかわらず、全身の恒常性が破綻しないのは、口腔の様々な細菌がバランスを保って共生しているからである。この口腔内細菌叢のバランスが崩れた、「口腔内dysbiosis」は上皮バリアの破綻を意味し、全身の恒常性の破綻を引き起こし糖尿病をはじめとした様々な疾患の進展・増悪に影響することが多数報告されている。現在行っている、口腔を1つの臓器としてとらえ、各世代別で社会問題となっている様々な疾患に注目し、臓器間クロストークを解明する研究を紹介する。加えて、光エネルギーの臨床応用を目指すための基礎研究を紹介する。臨床研究と基礎研究を融合した口腔科学研究の展望を皆様と議論したい。
- 演題:
- 「歯科用ジルコニア研究の現在とこれから」
- 演者:
- 猪越 正直教授
- 所属:
- 口腔デバイス・マテリアル学分野
- 要旨:
- 近年、臨床でジルコニア製補綴装置を使用する機会が非常に多くなっている。1998年に歯科に導入されて以来、今日に至るまで様々な種類のジルコニアが上市されている。これらのジルコニアの特性や接着方法を理解することは、長期に安定した臨床成績を得る上で非常に重要である。また、最近になって、ジルコニアの高速焼成や三次元積層造形といった新しい技術も導入されており、ジルコニアは日々進歩している。しかし、安定した接着を得るための表面処理がジルコニアの物性に与える影響や、焼成条件がジルコニアの物性に与える影響といった、ジルコニアに関する基礎研究が不足していた。本講演では、最新の歯科用ジルコニアに関する研究のこれまでの成果と将来展望、さらに臨床で特に重要なジルコニアへの接着方法についてまとめたいと考えている。
- 演題:
- 「口腔健康格差是正を目指す社会の役割」
- 演者:
- 木野 志保教授
- 所属:
- 口腔疾患予防学分野
- 要旨:
- 健康格差とは、地域や社会経済状態の違いによって健康状態に差が生じることを指す。健康格差はなぜ問題なのか。まず、公正な社会を目指す上で、“貧富の差が健康の差、ひいては命の差”になっているという現状を打破する必要がある。また健康格差は社会経済的に恵まれない人だけでなく、その地域に住むすべての人の健康に悪影響を及ぼすといわれている。したがって健康格差は公衆衛生上の解決すべき重要課題の一つとされており、健康格差を是正するための取り組みが国内外で求められている。近年、口腔の健康格差も大きな関心を集めており、口腔疾患予防を含めたその対応策について議論が活発に行われている。
演者はこれまでに歯科衛生士・社会福祉士の視点を利用し、国内外のデータを駆使して健康格差を是正するために社会ができる役割に関する研究を進めてきた。本演題では、日本・アメリカ・ヨーロッパでの実証研究を概説させていただき、皆さまと口腔健康格差の是正に向けた有効な政策について議論を深めたい。
講演会の概要や演者のご略歴はこちらをご覧ください。
問い合わせ先:総合診療歯科学分野 新田 浩・城戸大輔(口腔病学会例会担当)
kidperi@tmd.ac.jp