理事長挨拶

理事長
一般社団法人 日本顎関節学会
理事長 羽毛田 匡

一般社団法人日本顎関節学会を代表して、ご挨拶申し上げます。

本学会は、「顎関節学に関する基礎的及び臨床的研究、教育及び診療についての会員の能力向上を図るとともに、それにより地域社会における口腔の健康の維持と向上に貢献し、もって国民の健康と福祉の増進に寄与する」ことを会員共通の目的としています。

本学会は、1980年6月に名古屋において第1回顎関節研究会が開催されたことに始まります。1987年までに8回の学術集会が開催され、1988年に日本顎関節学会へと移行し、第1回の学術大会が開催されました。2007年に有限責任中間法人となり、2008年12月より一般社団法人日本顎関節学会となっています。

2026年7月現在、本学会には2,085名が所属し、歯科医師1,936名、歯科衛生士63名などで構成されています。口腔外科、開業医、補綴、矯正をはじめ、放射線、小児歯科、保存、口腔診断、基礎医学など、幅広い分野の専門家が参加する学際的な学会です。また、専門医・指導医・認定医の認定制度を設け、2025年には認定歯科衛生士制度を新設しました。全国107施設が研修施設等として認定されています。

本学会が対象とするのは、顎関節そのものの疾患に限りません。顎関節を動かす咀嚼筋、さらに顎関節や咀嚼筋の機能および疼痛に関係する神経・血管系を含む、顎口腔領域の幅広い疾患や病態を対象としています。その中で、日常臨床において最も一般的にみられる疾患が顎関節症です。

本学会では、顎関節症診療の基本的な考え方として、「顎関節症患者のための初期治療診療ガイドライン」や「顎関節症治療の指針2025」を公表するとともに、「新編 顎関節症 第3版」を刊行しています。また、顎関節脱臼、顎関節強直症、顎関節腫瘍、咀嚼筋腱・腱膜過形成症などについても、診療指針の策定や全国疫学調査を進めてきました。

学術活動として、2026年7月に長野市で第39回学術大会を開催し、2027年7月には東京で第40回大会を予定しています。また、年数回の学術講演会を通じて最新の知見を提供しています。学術論文は『日本顎関節学会雑誌』をオンライン発行し、「Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology(JOMSMP)」を英文機関誌としています。国際的には、アジア顎関節学会および韓国顎関節学会との交流・連携を進めています。

時代の流れとともに、顎関節・咀嚼筋疾患を取り巻く環境は大きく変化しています。本学会は、学術力の更なる向上のため、これまでのEBMに基づく診療はもちろんのこと、慢性疼痛、睡眠、心理社会因子、AI・デジタル技術など求められる多様な分野の理解を深めるための、最新の情報、研鑽の機会を提供していきます。また、多職種協働の診療体制も社会の要請であり、そのひとつが顎関節症診療への歯科衛生士の積極的な参画です。顎関節症の診療における、病態説明、生活習慣支援、セルフケア指導などにおいて歯科衛生士は歯科医師と連携して大きな役割を担います。本学会の認定歯科衛生士制度の充実と人材育成を進め、その役割を広く発信し、教育・研修の機会を整備していきます。

今後も、様々な活動を通じて、顎関節・咀嚼筋疾患に対する国民の健康と福祉の増進のために努めてまいります。ご支援の程、よろしくお願いいたします。

2026年7月