理事長挨拶
年頭所感
明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては健やかな新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
昨年は、日本歯科麻酔学会設立50周年の節目の年でした。10月30日には帝国ホテルで関連団体の来賓を招いて記念講演、記念式典を行うことができました。本学会の過去の50年を記念講演として金子譲名誉会員に振り返っていただきました。過去の先人の組織作りの上に本学会が他には見られない歯科麻酔に特化した学会が出来上がったことを改めて認識いたしました。更なる飛躍は私たちに委ねられました。50周年記念式典について改めて会員の皆様にご報告いたします。
日本歯科麻酔学会は今後の発展のために幾つかの課題を持っています。長年の課題ですが、広く国民に歯科麻酔を知っていただかなければなりません。私たちは麻酔を必要とする歯科患者のためにあります。十分な麻酔管理は日本全国の歯科患者に提供されているでしょうか?「歯科麻酔」という言葉すら知らない方はおそらく国民の半数を超えているでしょう。現在、歯科麻酔がどのくらい不足しているか、その現状を知るための調査をしています。その結果をもとに学会としてどのように対応していくかを検討していきます。
また、歯科麻酔科診療を円滑に施行するには歯科衛生士の協力も必要です。学会では認定歯科衛生士制度を設けていますが、今後は麻酔管理を理解した歯科衛生士を育成していきたいと考えており、歯科衛生士の教育活動にも積極的に取り組んでまいります。
今年はコロナ禍も落ち着いていくことを期待しています。学会会員の皆様にとってコロナ禍前の日常を取り戻され、歯科および歯科麻酔診療が順調に進められることを祈っております。
令和5年1月10日
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
理事長 飯島毅彦
年頭所感
明けましておめでとうございます。
本年も会員の皆様の健康な生活とますますの発展と祈念しております。
昨年(2021年)10月8日をもちまして、日本歯科麻酔学会も新たな執行部で第18期を迎えました。私は16-17期に引き続き、18-19期の理事長を拝命いたしました。日本歯科麻酔学会会員および歯科麻酔を必要とする歯科患者のために活動を広げていこうと考えております。
日本歯科麻酔学会は今年で50周年を迎えます。多くの先達の先生方が歯科患者に麻酔管理を提供するために組織作りをされてきました。諸外国にはない、歯科麻酔を研究、教育する講座が各歯学部に整備されてきました。歯科麻酔の臨床症例数が最も多いと思われる米国でも歯科学生のために歯学部で教育する科目として認定されたのは2019年のことでした。このように歴史的に見ても日本の歯科麻酔は整備されたものと言えます。一昨年の歯科麻酔管理料の新設、歯科専門医機構の第1号の歯科専門医の認定など歯科麻酔を支援する喜ばしいニュースがいくつかあります。このような追い風の中で日本歯科麻酔学会は更なる発展の道を歩んでいかなければなりません。現在、全国の歯科麻酔管理症例は約15万例(自費を除く)あると考えられています。しかし、歯科麻酔科医が担当している症例数はその2割程度と推察されています。歯科麻酔管理料の算定はわずか8%程度です。やはり医療界で歯科麻酔の存在を広く示していかなければなりません。学会は約2,800名の会員から成り立っています。歯科麻酔科医が社会から求められ、信頼され、認知されるのには会員一人一人の社会的活動が広く評価される必要があります。学会理事会はそのような会員の活動を応援すべく、各委員会での活動を活発化していきます。会員の皆様のさらなるご理解とご協力をお願いする次第です。
さて、長らく対面での学術集会が開かれておりませんでした。今年は第50回日本歯科麻酔学会学術集会(大会長:昭和大学 飯島毅彦、会場:東京都品川区 上條記念館)を3年ぶりの対面で開催する予定です。この学術集会では会員の皆さんが公募で参加するシンポジウムも企画されています。楽しい学会にしたいと思いますのでどうぞ学会員の皆様の参加をお待ちいたします。
令和4年1月11日
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
理事長 飯島毅彦
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
理事長 飯島毅彦
日本歯科麻酔学会は来年50周年を迎える日本歯科医学会の分科会です。
歯科・口腔外科の診療および処置には麻酔管理が必要な場面がたくさんあります。抜歯の中でもあごの骨の中の歯を摘出することが必要となることがありますが、局所麻酔のみならず全身麻酔が必要になります。また、様々な理由で全身麻酔下での歯科治療が必要な患者さんが数多くいます。私たちの歯科麻酔科は歯科・口腔外科の手術の麻酔、および、口腔顎顔面領域の痛みを担当する診療科です。日本歯科麻酔学会の専門医、認定医は全国29歯科大学に設置された歯科麻酔科の他、自治体立の施設、私立の施設で歯科の麻酔を行っています。
近代の麻酔は19世紀の中ほどに始まりました。それまでは麻酔という技術は発明されておらず外科手術を行うことは困難でした。外科手術は痛みを伴いますが、この痛みを無くすことはできなかったのです。しかし、米国の歯科医師であったHorace Wells氏が笑気による麻酔を、同じく歯科医師のThomas William Morton 氏がエーテルによる麻酔を始めました。これが近代の麻酔の始まりでした。この麻酔の歴史からもわかるように痛みを伴う抜歯などの歯科処置には強く麻酔が求められていたのです。歯科から始まった麻酔の技術ですが、その後広く外科治療に応用され、現在のように全身麻酔が広く応用されるようになりました。
日本では歯科大学に歯科麻酔科が設置され、歯学部学生にも麻酔の教育が行われています。大学卒業後、歯科の麻酔を専攻する者は2年以上の臨床経験を経て歯科麻酔認定医、5年以上で歯科麻酔専門医を取得しています。このように大学には歯科麻酔の講座があり、専門の麻酔教育をしている国はほかには見当たりません。米国ではいち早く歯科に麻酔が応用され、歯科麻酔科医が育っており歯科医療に貢献していますが、大学教育としての麻酔はこれから整備されるところです。歯科医学を履修している歯科医師が歯科麻酔を担当している両国は今後も他の国の歯科麻酔の専門医と協調して、歯科医療の進歩に貢献していきます。
歯科は単一の診療科のように見えますが、実際には10以上の歯科領域の専門領域があります。その中で厚生労働省が認めている広告可能な専門医が5つあります(他に 口腔外科専門医、歯周病専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医があります)が、そのうちの一つが歯科麻酔専門医です。歯科も今後は医科と同様に専門医制度が導入され、患者さんにとって専門知識を生かした高度な歯科治療を提供していきます。歯科麻酔科もその一翼を担い、安心して歯科医療を提供する環境を整えていきたいと考えております。皆様のご理解とご協力を賜れますようお願いいたします。
令和元年11月18日