理事長挨拶

理事長

一般社団法人 日本歯科麻酔学会
理事長 飯島毅彦

日本歯科麻酔学会は来年50周年を迎える日本歯科医学会の分科会です。

歯科・口腔外科の診療および処置には麻酔管理が必要な場面がたくさんあります。抜歯の中でもあごの骨の中の歯を摘出することが必要となることがありますが、局所麻酔のみならず全身麻酔が必要になります。また、様々な理由で全身麻酔下での歯科治療が必要な患者さんが数多くいます。私たちの歯科麻酔科は歯科・口腔外科の手術の麻酔、および、口腔顎顔面領域の痛みを担当する診療科です。日本歯科麻酔学会の専門医、認定医は全国29歯科大学に設置された歯科麻酔科の他、自治体立の施設、私立の施設で歯科の麻酔を行っています。

近代の麻酔は19世紀の中ほどに始まりました。それまでは麻酔という技術は発明されておらず外科手術を行うことは困難でした。外科手術は痛みを伴いますが、この痛みを無くすことはできなかったのです。しかし、米国の歯科医師であったHorace Wells氏が笑気による麻酔を、同じく歯科医師のThomas William Morton 氏がエーテルによる麻酔を始めました。これが近代の麻酔の始まりでした。この麻酔の歴史からもわかるように痛みを伴う抜歯などの歯科処置には強く麻酔が求められていたのです。歯科から始まった麻酔の技術ですが、その後広く外科治療に応用され、現在のように全身麻酔が広く応用されるようになりました。

日本では歯科大学に歯科麻酔科が設置され、歯学部学生にも麻酔の教育が行われています。大学卒業後、歯科の麻酔を専攻する者は2年以上の臨床経験を経て歯科麻酔認定医、5年以上で歯科麻酔専門医を取得しています。このように大学には歯科麻酔の講座があり、専門の麻酔教育をしている国はほかには見当たりません。米国ではいち早く歯科に麻酔が応用され、歯科麻酔科医が育っており歯科医療に貢献していますが、大学教育としての麻酔はこれから整備されるところです。歯科医学を履修している歯科医師が歯科麻酔を担当している両国は今後も他の国の歯科麻酔の専門医と協調して、歯科医療の進歩に貢献していきます。

歯科は単一の診療科のように見えますが、実際には10以上の歯科領域の専門領域があります。その中で厚生労働省が認めている広告可能な専門医が5つあります(他に 口腔外科専門医、歯周病専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医があります)が、そのうちの一つが歯科麻酔専門医です。歯科も今後は医科と同様に専門医制度が導入され、患者さんにとって専門知識を生かした高度な歯科治療を提供していきます。歯科麻酔科もその一翼を担い、安心して歯科医療を提供する環境を整えていきたいと考えております。皆様のご理解とご協力を賜れますようお願いいたします。

令和元年11月18日

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