日本歯科医学会専門分科会の日本歯科麻酔学会と都道府県歯科医師会・郡市区歯科医師会の共催による「安全な歯科医療を提供するためのバイタルサインセミナー」について
日本歯科麻酔学会 地域医療委員会
日本歯科医師会雑誌 2009年3月 Vol.61 No.12 1417-1424 をご参照ください。
日常の歯科医療、ことに全身疾患を合併した高齢者などの治療を安全に、事故なく行うためには、患者さんの全身状態を術前に的確に把握すること、および術中の全身状態を監視し、不測の事態にいち早く対処できることが必要です。前者については、診療情報提供、病診連携などを活用することで、患者さんの既往歴、服薬状況、全身疾患の加療状況などを知ることができます。また後者では、術中に患者さんの状態を表わすバイタルサインを連続的に測定し、評価するいわゆるモニタリングを行うことが重要です。とりわけ近年広く使用されている血圧、心拍数、動脈血酸素飽和度(SpO2)などを自動的に測定し、刻々の変化を瞬時に把握できる種々のモニタリング装置の有用性は高く、これらを歯科医師が理解し、術中管理に使用することが望まれます。
歯科診療報酬においても歯科治療時医療管理料等が保険収載され、全身管理モニターの装着や活用がより広範囲に評価される時代になっています。しかしながら「安全な歯科治療のための努力」は、臨床の最前線で活躍している一般歯科医師に十分に浸透したとは言えません。「安全な歯科医療への努力」を正面から取り上げていくきっかけとして、本学会はこのセミナーを実施して、歯科に対する国民的な理解と共感の取得を目指したいと考えています。令和2年度より、従来の講義型のバイタルサインセミナーに加えて以前よりご要望が多かった実習型のバイタルサインセミナーを企画致しました。講義型、実習型、講義・実習型の3種類からお選びいただけます。
事業の対象 |
一般歯科医師(日本歯科医師会会員および会員の診療所に勤務する歯科衛生士等) |
事業の目的 |
- 講義型バイタルサインセミナーでは、歯科治療を安全に行うために基本的なバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、体温)の意義、パルスオキシメータの意義と使用法、および安全を確保するための医療面接(問診)と全身状態の診察法を習得していただくことを目的とします。
- 実習型バイタルサインセミナーでは、実際にモニタを使用し、具体的な使い方を習得していただきます。また、相互実習やシミュレーター実習を通して、バイタルサインと臨床症状の関係、全身的偶発症の診断と初期対応について学びます。実習型バイタルサインセミナーを受講すれば、実践的な知識・技術を習得することが可能です。
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事業主体 |
本事業は、実際に開催する都道府県歯科医師会等と日本歯科麻酔学会との共催とします。
実際の流れとしては、日本歯科医師会から、本事業の概要を各都道府県歯科医師会にアナウンスし、開催を希望する都道府県歯科医師会、郡市区歯科医師会に手をあげていただく形を採ります。
バイタルサインセミナー 実施までの流れ
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実施細目 |
- 歯科医師会の担当部会(学術部、生涯研修部など)と本学会地域医療委員会が、開催日程、開催様式などについて協議します。
- 日本歯科麻酔学会は、学会ならびに開催する歯科医師会に所属する日本歯科麻酔学会認定医および歯科麻酔専門医を、積極的にセミナーの企画、実施に参加させるよう努めます。
バイタルサインセミナー実施までの細目について
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セミナー内容 |
- 講義型バイタルサインセミナー
セミナーは、学術講演、および総合討論会から構成されます。学術講演は、学会から派遣された演者により定められたコアカリキュラムに従って行われます。また、総合討論会は、学会地域医療委員会からの派遣者・演者その他により行われます。
- 実習型バイタルサインセミナー
セミナーは、内容を理解するためのレクチャーとモニタ、相互実習、アプリを用いたシミュレーター実習から構成されます。講義型で学んだ知識を、臨床現場で実施できるようになることを目的としています。10人(1ユニット5人で2ユニット)もしくは20人(1ユニット5人で4ユニット)のいずれかをお選びいただきます。実習項目は以下の通りです。
(1)生体情報モニタの使用方法(マンシェット、パルスオキシメータ、心電計の装着、および各種数値の解釈)
レクチャー、グループ内で生体情報モニタを用いた相互実習
(2)脈拍、呼吸の観察
レクチャー、グループ内で相互実習
(3)JCSによる意識レベルの評価
レクチャー、グループ内で模擬実習
(4)全身的偶発症への初期対応(血管迷走神経反射、アナフィラキシーなど)
レクチャー、アプリを用いた全身的偶発症の診断および初期対応のシミュレーション実習
- 講義型、実習型ともに、日本歯科麻酔学会が歯科医師会の担当部会(学術部、障害研修部など)と開催日程、開催様式などについて協議いたします。さらに開催する歯科医師会所属の日本歯科麻酔学会認定医および歯科麻酔専門医を、セミナーの企画、実施に参加させるよう努めます。
- 歯科外来診療環境体制加算、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準を満たす研修内容のうち、緊急時対応や医療安全等に該当すると考えられます。講演を希望される場合は、申込みの際にお知らせ下さい。
各セミナーと対応可能な施設基準の要件に係る研修との関係
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必要経費 |
演者および学会が派遣する地域医療委員の交通費・宿泊費は日本歯科麻酔学会が負担いたします。開催歯科医師会にはバイタルサインセミナー事業推進寄付金として、講義型では15万円、実習型では、10名の場合20万円、20名の場合40万円、講義・実習型ではそれぞれ35万円、55万円をご負担願います。 |
開催実績 |
令和5年度の開催一覧と、過去の開催実績は下記をご覧ください。
令和5年度「安全な歯科医療のためのバイタルサインセミナー」開催一覧
過去のバイタルサインセミナーの開催実績・開催風景
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問い合わせ先 |
一般社団法人日本歯科麻酔学会事務局
〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9
TEL:03-3947-8891 FAX:03-3947-8341 |